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スパイダーウィック家の謎
The Spiderwick Chronicles

ホリー・ブラック
Holly Black

トニー・ディテルリッジ
Tony DiTerlizzi

▼人間、見るべからず ▼魔法の石をさがせ
▼エルフとの約束 ▼ドワーフと鉄の森 ▼オーガーの宮殿へ
※書影もしくは「通販ページへ」をクリックするとAmazon.co.jpへ飛びます

人間、見るべからず
The Field Guide 2003年

『スパイダーウィック家の謎』シリーズ、第一巻『人間、見るべからず』
原題『The Field Guide』 2003年

ホリー・ブラック Holly Black 文 トニー・ディテルリッジ Tony DiTerlizzi 絵
全五巻シリーズです。(原書では続編シリーズも出ています)
ふたりの共著といった感じで、絵が主役の絵本に近いものがあります。
2007年にアメリカで映画化もされ、2008年に日本でも公開されました。
邦訳は文渓堂から飯野眞由美:訳で出ています。

あらすじ:
母と姉のマロリー、双子の弟サイモンと、親戚のおばさんの古いお屋敷に引っ越してきたジャレッドは、不審な音をききます。それは壁のなかからきこえてくるのでした。フェンシングが趣味で、やや乱暴なところのある姉のマロリーが壁をたたきこわすと、なかから壊れた人形や、ゴキブリの死骸など、不気味ながらくたが出てきます。
それから次々と奇妙なことが起こり…
偶然みつけた隠し部屋で、謎めいたメモを手に入れたジャレッドは、謎をといて一冊の手書きの本を発見します。それは妖精について書かれた、図鑑のような本でした!

妖精や幻獣、モンスターなどのファンタジックな絵が好きな方なら楽しめるシリーズかと。内容は軽めです。暗号(?)解読といった謎解きの要素も少しありますが、児童書らしく、子供さんにも簡単にわかるレベルの謎解きとなっています。
挿絵を担当しているディテルリッジの献辞は、アーサー・ラッカムに捧げられています。
ディテルリッジの絵はラッカムよりも少しコミカルな感じがします。親しみやすい絵で、妖精たちの、ちょっぴり不気味でちょっぴりかわいくて…のバランスが絶妙です。
また、物語の地図には、Dulac Driveや、J. Waterhouse Middle Schoolなんて名前があり、おそらくはエドマンド・デュラックや、J.W.ウォーターハウスから名づけたのかな、という気がします。
(2008年6月)
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魔法の石をさがせ
The Seeing Stone 2003年

スパイダーウィック家の謎2「魔法の石をさがせ」(原題:The Seeing Stone)2003年

あらすじ:
いなくなった猫をさがしている途中で、サイモンがゴブリンにさらわれてしまいます。しかし普通の人間の目ではゴブリンの姿を見ることができません。ジャレッドは、妖精の姿を見ることができる魔法の石をさがします。
そうしてサイモンをたすけに、姉のマロリーと森へ。すると、巨大な化け物、トロールがあらわれて…!

前作で登場したブラウニー(眠っているあいだに仕事をしてくれる親切な小人さん。怒らせるとボガートになって、悪いいたずらをして人間を困らせます)のシンブルタックのほか、今作で登場するのは、トロール、ゴブリン、ホブゴブリン、スプライト、グリフィンです。トロールとゴブリンは邪悪な妖精で、ホブゴブリンは、ゴブリンよりは友好的な妖精です。
グリフィンは、上半身が鷹で、下半身がライオンの幻獣です。

トロールというと有名なのはなんといってもムーミン・トロールですけど、ムーミンのように可愛らしいのは稀です。

この話に登場するトロールで一番近いのは、ノルウェーの民話、アスビョルンセンの「太陽の東 月の西」のなかにでてくる「ふとりたくて丘にゆく三びきの牡ヤギ・ブルーセ(三びきのやぎのがらがらどん)」に登場するトロルかもしれません。
橋の下にすんでいる、あたまがあまりよくない、という属性です。
また、トールキンの「ホビットの冒険」にでてくるトロールと同じで、日の光をおそれます。

(2008年6月)
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エルフとの約束
Lucinda's Secret 2003年

スパイダーウィック家の謎3「エルフとの約束」(原題:Lucinda's Secret)2003年

あらすじ;
「妖精図鑑」があるために妖精たちが襲撃してくるのなら、シンブルタックの忠告どおり、「妖精図鑑」をどうにかしてしまったほうがいいと考えるマロリー。ジャレッドは、ルシンダおばさんの意見をきくことを提案します。
ルシンダおばさんのもとへお見舞いに行った姉弟三人は、おばさんも妖精に襲われたこと、妖精の食べ物を食べてしまったために、人間の食べるものが食べられなくなってしまったことなどをきかされます。
そして「妖精図鑑」の作者、アーサー・スパイダーウィックの謎の失踪についても…

今回登場するのは、プーカにエルフ、ユニコーン。また「Stray Sod まどわしの草地」もでてきます。妖精のかけたまじないによって道に迷うのですが、服を裏返しに着ることによって、まじないを解くことができます。

物語もいよいよ中盤。妖精と約束すること、時にその裏をかこうとすることは、おそろしい結果をまねくこともあることが書かれます。

(2008年6月)
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ドワーフと鉄の森
The Ironwood Tree 2004年

スパイダーウィック家の謎4「ドワーフと鉄の森」(原題:The Ironwood Tree)2004年

あらすじ:
マロリーのフェンシングの大会で、ジャレッドは姿を変えることのできる妖精と遭遇します。
マロリーはドワーフにさらわれてしまい、ジャレッドとサイモンはたすけに。ドワーフは、この世界の何もかもを銀や銅や鉄でできたものに作り変えようとたくらんでいました。マロリーと交換に「妖精図鑑」を渡せと要求するドワーフを、うまく騙そうとするジャレッドですが…?

今回登場するのは、ドワーフにノッカー、そしてオーガー。
ドワーフで有名なのはグリム童話の「白雪姫」に登場する七人の小人。ディズニーのアニメで、ハイホーハイホーと歌っているのも有名です。しかし、この作品に登場するのは、そんな陽気な小人さんたちではなくて、白雪姫のパロディとして登場するガラスの棺も、どこか恐ろしいものに感じられます。もっとも、この作品のドワーフたちは機械細工が好きで、ロボット犬みたいなものもでてきますから、ガラスの棺もコールドスリープ装置みたいなものなのかもしれません。

ノッカーは鉱山にいる妖精で、よい鉱脈を教えてくれたりもする、比較的良い妖精さん。ドワーフたちに追われたジャレッドたちを、たすけてくれます。
オーガーは人食い鬼。いよいよ最後の敵が姿をあらわした!といったところで次巻につづきます。

(2008年6月)
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オーガーの宮殿へ
The Wrath of Mulgarath 2004年

スパイダーウィック家の謎5「オーガーの宮殿へ」(原題:The Wrath of Mulgarath)2004年

あらすじ:
ジャレッドたち三人が屋敷に戻ると、屋敷は荒らされており、母親はゴブリンたちに連れ去られていました。
「妖精図鑑」も敵の手に渡ってしまい、ジャレッドはオーガーやドラゴンの弱点を知るためにエルフのもとへ。
シンブルタックと、グリフィン、ホブゴブリンも仲間(?)に加わって、オーガーの宮殿に乗り込むジャレッドたちですが…!

オーガーの特徴として、シャルル・ペローの「長靴をはいた猫」のなかに登場する人食い鬼のことが作中で指摘されます。「長靴をはいた猫」のお話を知っていると、ああなるほどと思う展開が待ち受けています。

「長靴をはいた猫」は→青空文庫さんで読めます。

(2008年6月)
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アーサー・スパイダーウィックの妖精図鑑
Arthur Spiderwick's Field Guide to the Fantastical World Around You

作中に登場するアーサー・スパイダーウィックの「妖精図鑑」を本にした、というのが、この本です。2005年刊。
邦訳は文渓堂、飯野眞由美:訳

→通販ページへ(邦訳)
→通販ページへ(洋書)

■セット■


※英語版

「スパイダーウィック家の謎 The Spiderwick Chronicles」
全五巻セット。邦訳も洋書も箱入りセットで出ています。

→通販ページへ(邦訳)
→通販ページへ(洋書)
英語版
※英語版
Spiderwick Collector's Trunk
洋書全五巻と、「The Notebook for Fantastical Observations」のついた、コレクターセット。

→通販ページへ(洋書)

■参考■
妖精事典
富山房 キャサリン・ブリッグズ(Katharine Briggs):編著
平野 敬一 三宅 忠明 井村 君江 吉田 新一 :訳
英国の妖精について書かれた事典。「スパイダーウィック」に登場する妖精や、妖精に関するいろんなことの多くは、この事典にも書かれています。

→通販ページへ(邦訳)

同著者作品
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