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ウルフ・タワー
Wolf Tower
(The Claidi Journals)

タニス・リー
Tanith Lee

ウルフ・タワーの掟 / ライズ 星の継ぎ人たち

タニス・リーといいますと、英国ダーク・ファンタジーの女王。大人向けの耽美な作風で知られているかと思うのですが、この「ウルフ・タワー」シリーズは少女小説。
十代の女の子向けという感じです。
シリーズはいまのところ全四作。
邦訳はすべて産業編集センターから出版されています。
原著は英国版ですが、アメリカ版もでています。
英国版とアメリカ版では、タイトルが違っています。
シリーズ名は、「Wolf Tower」もしくは「The Claidi Journals」とされます。
主人公のクライディの日記という形式で物語りは綴られていて、英語も少女の一人称ですから、比較的難易度は低め。
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ウルフ・タワーの掟
Law of The Wolf Tower

It isn't like being scalded. It's like having wings.
キスはやけどになんか似てなかった。それより翼が生えた気分。(引用)

タニス・リーの「ウルフ・タワーの掟」
原題「Law of The Wolf Tower」1998年。アメリカ版タイトルは「Wolf Tower」
ウルフ・タワーシリーズ(The Claidi Journals)全四作の、第一巻。
邦訳は、産業編集センターから中村浩美:訳 桜瀬琥姫:カバーイラスト で出版されています。

あらすじ
<ハウス>と呼ばれる、外界から閉ざされた…というより、自ら閉じこもっている宮廷風の場所で、メイドとして貴族に仕えるクライディは、十六歳の少女。ヒステリックで意地の悪い主人から虐められてばかりの日々にうんざりしていて、なんとか逃げ出したいと思っています。
そんなある日、外の世界<荒地>からやってきた、金髪の王子ネミアンに、クライディはときめきをおぼえます。
捕らわれの身になったネミアンを逃がそうとする、ある女性の口から、クライディは自分の出生の秘密をきかされます。じつはクライディの母親は<ハウス>のプリンセスで、執事と身分違いの恋をしたために、<荒地>へ追放されたのだと。
クライディはネミアンとともに、<ハウス>から逃亡するのですが…?

設定や展開が少女小説の王道、という感じでどんどん進むのですが、最後にはひとひねりの工夫がされています。

それが何のために必要なのかもわからず、誰もがばかばかしいと感じるような<掟>や<儀式>でも、それが<掟>であり<儀式>であるという理由だけで、命をかけて守らなければならない…、そんな世界をぶっこわす女の子のおはなし。

(2009年10月)
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SSS: YL 5 45,000語(概算) 挿絵:なし
洋書(アメリカ版)は、「ウルフ・タワーの掟」「ライズ 星の継ぎ人たち」「二人のクライディス」の三作が一冊になった「The Claidi Collection」といったものも出ています。(最終巻の「翼を広げたプリンセス」は収録されていません)
"You break rules," he said, dreamily. "You break machines, don't you?"
「きみは規則を破る」ヴェンは夢見るようにいった。「機械も壊す。そうだろう?」(引用)

タニス・リーの「ウルフ・タワー」シリーズ、第二巻。
「ライズ 星の継ぎ人たち」
原題「Wolf Star Rise」(2000年) アメリカ版タイトル「Wolf Star」
邦訳は一巻と同じく、産業編集センターから中村浩美:訳 桜瀬琥姫:カバーイラスト で出版されています。

あらすじ
運命の相手との結婚式をひかえて幸せいっぱいのクライディ。しかし、タワーから追ってきた男たちに、ウェディングドレス姿のままで誘拐されてしまいます。つれていかれた先は、ジャングルに囲まれた不思議な場所。そこは、外の世界を知らないひとりの王子が、ロボットたちと本と動物に囲まれて暮らす、一種の楽園のような場所でした。しかし望んでこの場所にやってきたわけではないクライディは、脱出を謀ります。愛する人のもとに戻るため。

前作は、多少の謎は残ってはいたものの、一作としてほぼ完結していたのですが、今回はやや続きが気になる形で終わっています。
一応、あるていどの区切りはついてるのですが、結婚式の日にさらわれたまま、花婿さんと再び会えないままの状況で終わっているので…。はてさてどうなることやら。

今回のモティーフとして、<太陽>と<月>がでてきます。太陽と月のはざまにいるということは、ふたつの重要なものの間にいるということで、決断しなくちゃいけない、どちらかを選ばなくちゃいけないという状態のことらしく、そういった状態におかれた女性がどの道を選んだのか、といったことが、主人公のクライディの選択とともに語られます。

(2009年10月)
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タイトル表
1〜3巻の英語のタイトルは英国版とアメリカ版で違っています。
オリジナルは英国版です。
邦訳タイトル 英国版 アメリカ版
1998 ウルフ・タワーの掟 Law of the Wolf Tower Wolf Tower
2000 ライズ 星の継ぎ人たち Wolf Star Rise Wolf Star
2001 二人のクライディス Queen of the Wolves Wolf Queen
2002 翼を広げたプリンセス Wolf Wing 英国版と同じ
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